個人開発でアプリやWebサービスを公開しようとしたとき、多くの人が最初につまずくのがプライバシーポリシーです。「そもそも個人開発でも必要なのか」「何を書けばいいのか」がわからないまま、公開日だけが近づいてくるという状況は珍しくありません。
この記事では、個人開発のサービスにプライバシーポリシーが必要になる条件と、実際に書くべき項目を、そのまま使えるひな形つきで解説します。
ローンチガード編集部
個人開発アプリの法令表記・UXを自動監査するツール「ローンチガード」を運営しています。 これまで多数の個人開発サイトを解析してきた中で見えてきた、実際によくある抜け漏れのパターンをもとに執筆しています。 本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断が必要な場合は弁護士・行政書士にご相談ください。
個人開発とプライバシーポリシーの必要性
結論から言うと、お問い合わせフォームやアクセス解析、会員登録機能があるなら、個人開発でもプライバシーポリシーの公表が必要になります。個人情報保護法は「個人情報取扱事業者」を対象にした法律ですが、この「事業者」には法人だけでなく個人も含まれ、しかも個人開発だからという理由での適用除外はありません。
個人情報保護法の対象になるケース
メールアドレスや氏名を取得するお問い合わせフォーム、ログイン機能、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを導入している場合は、それだけで個人情報を取り扱っていることになります。「個人情報」というと氏名や住所を思い浮かべがちですが、Cookieを通じて取得する閲覧履歴や端末情報も、他の情報と組み合わせて個人を識別できる場合は対象に含まれます。
「必要ない」と誤解されやすい理由
「無料アプリだから」「個人が趣味で作っているだけだから」という理由で不要だと考えてしまう人が多いですが、これは誤解です。個人情報保護法の義務は、事業の規模や営利・非営利を問わず発生します。唯一の例外に近いのは、取得する情報が本当に何もない(解析タグも問い合わせフォームもない)静的なサイトの場合だけです。
💬 編集部コメント
実際にローンチガードで個人開発サイトを解析すると、Google Analyticsは入っているのにプライバシーポリシーが無い、というケースが最も多いパターンです。解析タグを1つ入れた時点で、公表の必要性が発生すると考えておくのが安全です。
プライバシーポリシーに書くべき項目
個人情報保護法が求めている公表事項は、大きく分けると次の4つです。長々とした文章にする必要はなく、この4点が明確に書かれていれば基本的な要件は満たせます。
個人情報の取得方法と種類
何を、どんな手段で取得しているかを書きます。「お問い合わせフォームからメールアドレスとお名前を取得します」のように、具体的に書くのがポイントです。
利用目的
取得した情報を何のために使うかです。「お問い合わせへの返信のため」「サービス改善のため」など、目的の範囲を超えて情報を使わないことが前提になります。
第三者提供の有無
取得した情報を外部に渡すことがあるかどうかです。決済代行サービスや解析ツールへの情報連携も、広い意味では第三者への提供にあたるため触れておくと丁寧です。
開示・訂正・削除請求の窓口
利用者本人が「自分の情報を見せてほしい」「消してほしい」と請求してきたときの連絡先です。ここが抜けている個人開発サイトは非常に多く、後述する「よくある書き忘れ」でも触れます。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 取得方法・種類 | 問い合わせフォームでのメールアドレス取得、Cookieによるアクセスログ取得など |
| 利用目的 | お問い合わせ対応、サービス改善、不正利用対応など |
| 第三者提供 | 法令に基づく場合を除き行わない旨、または連携先サービス名 |
| 開示等の請求窓口 | 問い合わせ用のメールアドレスまたはフォームURL |
🛡️ 自分のサイトに何が足りないか、無料で確認できます
ローンチガードにURLを入れるだけで、プライバシーポリシーの有無を含む26項目を自動でチェックできます。5回まで無料です。
無料で診断してみる →個人開発アプリでよくある書き忘れ
ここからは、実際に多くの個人開発サイトを機械的にチェックしてきた中で見えてきた、実務でよくあるパターンを紹介します。
アクセス解析とCookie告知の抜け
Google Analyticsやアクセス解析ツールを導入しているサイトのうち、Cookie利用について一言も触れていないケースが目立ちます。2023年6月施行の改正電気通信事業法(外部送信規律)により、こうした外部送信について利用者に分かる形で示すことが求められるようになりました。
開示請求先の記載漏れ
プライバシーポリシー自体はテンプレートをコピーして用意しているものの、肝心の連絡先(メールアドレスなど)が空欄のまま公開されているケースがあります。テンプレートを流用するときに見落としやすい箇所なので、公開前に必ず自分の連絡先に書き換えたか確認してください。
特定商取引法表記との内容の食い違い
有料プランがあるサービスでは特定商取引法に基づく表記も必要になりますが、プライバシーポリシーの事業者名・連絡先と特商法表記の内容が食い違っているケースもあります。どちらも同じ情報を指しているはずなので、両方を作った後に一度見比べておくと安心です。
- Cookieやアクセス解析を使っているのに告知が無い
- 開示請求の連絡先欄が空欄のまま公開されている
- プライバシーポリシーと特商法表記の事業者情報が食い違っている
コピペで使えるひな形
以下は、個人開発のアプリ・Webサービス向けに最低限の要件をまとめたひな形です。四角で囲った部分を自分のサービスの情報に書き換えてそのまま使えます。
# プライバシーポリシー 【サービス名】(以下「当サービス」)は、利用者の個人情報の取り扱いについて、以下のとおりプライバシーポリシーを定めます。 ### 1. 取得する情報 当サービスは、以下の情報を取得することがあります。 - お問い合わせの際にご入力いただくメールアドレス・お名前 - 利用状況に関する情報(アクセス日時、閲覧ページ、ブラウザの種類、IPアドレス等) ### 2. 利用目的 取得した情報は、次の目的でのみ利用します。 - お問い合わせへの回答および連絡のため - 当サービスの提供・維持・改善、および不具合の調査のため ### 3. 第三者提供 当サービスは、法令に基づく場合を除き、あらかじめご本人の同意を得ることなく個人情報を第三者へ提供しません。 ### 4. アクセス解析ツールについて 当サービスでは、サービス改善のためアクセス解析ツールを利用しています。Cookieの利用はブラウザの設定から無効にすることができます。 ### 5. 開示・訂正・削除の請求 ご本人から個人情報の開示、訂正、利用停止、削除のご請求があった場合には、ご本人であることを確認したうえで速やかに対応します。下記の連絡先までご連絡ください。 ### 6. お問い合わせ先 サービス名:【サービス名】 連絡先:【メールアドレス】 制定日:【西暦年月日】
書き換えるべき3つのポイント
- 【サービス名】をすべて実際のサービス名に置き換える
- 【メールアドレス】を実際に受信できる連絡先に置き換える(ここが空欄のまま公開されがちです)
- アクセス解析やCookieを使っていない場合は、4番の項目を削除する
実際の作り方3ステップ
ステップ1 集めている情報を洗い出す
まずは自分のサービスがどんな情報を集めているかを紙に書き出します。問い合わせフォーム、会員登録、決済機能、アクセス解析ツールを一つずつ確認していくと漏れが減ります。
ステップ2 テンプレートに当てはめる
上記のひな形の四角部分を自分のサービスの情報に書き換えます。使っていない項目(決済連携など)があれば、その項目だけ削除して構いません。
ステップ3 公開後に抜けをチェックする
プライバシーポリシーを公開したら、実際にリンクが機能しているか、フッターから辿れるかを確認します。ローンチガードのようなツールでURLを入れて自動チェックすれば、リンク切れや特商法表記との整合性もあわせて確認できます。
よくある質問
プライバシーポリシーが無いとどうなりますか?
個人情報保護委員会からの指導・勧告の対象になり得るほか、利用者からの信頼を損ないます。App StoreやGoogle Playなどのアプリストアでは、プライバシーポリシーのURLが審査で必須項目になっている場合もあります。
弁護士に依頼したほうがいいですか?
取得する情報が個人情報保護法の基本的な範囲(お問い合わせ・解析程度)であれば、上記のひな形をベースに自分で作成しても問題ないケースが多いです。決済情報や機微な情報を扱う場合、事業規模が大きくなってきた場合は、専門家に確認してもらうと安心です。
テンプレートをそのまま使っても大丈夫ですか?
四角で囲った箇所を自分の情報に書き換えていれば、最低限の要件は満たせます。ただし今後、決済機能や会員機能を追加したときは、その都度ポリシーの内容も見直してください。
まとめ
個人開発でも、お問い合わせフォームやアクセス解析を使っているならプライバシーポリシーの公表が必要です。書くべき項目は「取得する情報」「利用目的」「第三者提供」「開示請求の窓口」の4つに絞られるので、今回紹介したひな形を書き換えるだけで最低限の形は整います。公開後は、リンク切れや特商法表記との整合性まで含めて一度チェックしておくと安心です。
🚀 リリース前に、まとめて無料チェック
プライバシーポリシーだけでなく、特商法表記・OGP・SEO・セキュリティヘッダーまで、26項目をまとめて自動チェックできます。
ローンチガードで無料診断する →